アレチハナガサの茎の先端近くの花の下に違和感のある白い塊が見えた。何だろうと思い、撮ろうとしたら動いたような気がした。でも、次の瞬間には植物のどこかの部分が風に揺れていたように見えた。なーんだと思って指を伸ばしたらやはり変。花弁のひとひらと思えたのはハナグモの脚部だった。
じっと動かないでいると昆虫にもわからないらしい。ハナグモの取り付いていたアレチハナガサの茎のすぐ上にヤマトシジミが飛んできてとまった。それでもハナグモはじっとしている。ヤマトシジミを狙うハナグモという構図で撮ろうとしたが、次の瞬間には蝶は逃げてしまった。恨めしそうに何もない空間をクモが見詰めているような気がした。
逃げたのはクモの殺気を感じたからか、撮影のための動きが刺激したからかはわからない。花に化身して獲物を捕らえるクモはいろいろな事を考えさせる。