もう、帰り路を歩いているときにその虫は降り立った。
離れたところだったが濡れて黒い路面にそれは色の塊のように見えた。いかつい外形でそんな風に見えるのはハンミョウだ。地味な色のタイワンヒメハンミョウはここらでも見るのだが、ハンミョウを見たのは初めてだった。
場所は違うが数年前に見たものはとてもすばやくピントを合わせることもできないうちに視界から消えてしまった。今回、降り立ったこの虫がそれほど敏捷でなかったのは今朝の低温のためなのか、この個体の特性だったのか。どちらにしてもとてもうれしいことだった。
光の加減もよく、見とれてしまうくらい色合いが変化するように見えた。
顔つきを見れば獰猛だ。明らかに肉食。